インハーモニシティの傾き (Inharmonicity grade) v0.4

「I, grade. 我輩は"傾き"である。しかし、名前は まだ 無い。」

インハーモニシティ(Inharmonicity)は 弦の性質から個々のキーで表現されるものですが それに対して キー同士又キー全体のインハーモニシティの 勾配(grad)・傾斜(gradient)を 直線的でも曲線的でも (対数グラフでなければ どちらも曲線的ですが ここではY軸(上下方向)対数グラフでの比較で表現しています) 取り合えず 傾き(grade)と呼びます。

インハーモニシティの傾き(grade)をシミュレーションして 音程間の`うなり'(響き)を見てみます。

Igrade (Java appletは 利用出来なくなりました;)

使い方:

(v0.3)幾つかの[Grad.]を見てみます。 オクターブの A(1)とC(28)とA(61)です。(巻線数は27です。)

igrade grade a1 igrade grade c28 igrade grade a61

例えば巻線の数を0にしてみます。

igrade 0 inharmo.

A(1)の傾き(Grade)を見てみます。
[Grad.]はマイナスで`うなり'が大きくなります。 右はその時の[Inha.]の変化と[All]の`うなり'です。

igrade 0 grade igrade 0 inharmo.s igrade 0 all beat

巻線の数を増やしてみます。

igrade 13 grade igrade 13 inharmo.s igrade 13 all beat

13本ではプラスと同じく -0.11~-0.12で`うなり'の逆転が起こり -0.087前後で`うなり'のピークがある事が見受けられます。

巻線27本の場合です。

igrade 27 grade igrade 27 inharmo.s igrade 27 all beat

傾き(grade)の増減に比例して `うなり'が同じように増減するのが分かります。

巻線37本の場合です。以降は増加するのみです。

igrade 37 grade igrade 37 inharmo.s igrade 37 all beat

巻線47本の場合です。

igrade 47 grade igrade 47 inharmo.s igrade 47 all beat

初めに平均律の場合 オクターブ(2:1)での倍音の`うなり'は

Key\倍数1234 5678...
A(37)220440660880 1100132015401760...
A(49)44088013201760 2200264030803520...
equal beat octave

A(49) 440[Hz] - A(37) 220[Hz]x2 (440) = 0 のように

Straight 1.0 octave beats

どのキーでも 0になります。

4度(4:3)では

Key\倍数1234 5678...
A(37)220440660880 1100132015401760...
D(42)293.665587.330880.995 1174.6601468.3251761.9902055.655 2349.320...
Straight 1.0 4th beats

D(42) 293.665[Hz]x3 (880.995) - A(37) 220[Hz]x4 (880) = 0.995 のように 1オクターブ高くなる毎に差は 2倍になります。

5度(3:2)では

Key\倍数1234 5678...
A(37)220440660880 1100132015401760...
E(44)329.628659.256988.884 1318.5121648.1401977.7682307.396 2637.024...
Straight 1.0 5th beats

E(44) 329.628[Hz]x2 (659.256) - A(37) 220[Hz]x3 (660) = -0.744 のように 1オクターブ高くなる毎に差は 1/2倍になります。

では 直線のインハーモニシティ 0.55・傾き(grade) 2.8(0.087)・セント値は全て 0[cent]で 未tuningの場合です。

Straight inharmonicity 0.087

オクターブ・4度・5度の`うなり'は

Straight octave beats Straight 4th beats Straight 5th beats

傾きを 1.9(0.055)にしてみます。

Straight inharmonicity 0.055

オクターブ・4度・5度の`うなり'は

Straight 0.055 octave beats Straight 0.055 4th beats Straight 0.055 5th beats

傾きを 4.2(0.12)にしてみます。

Straight inharmonicity 0.12

オクターブ・4度・5度の`うなり'は

Straight 0.12 octave beats Straight 0.12 4th beats Straight 0.12 5th beats

次に 曲線のインハーモニシティ 0.55で 傾き(grade) 0.087の場合です。

Curve inharmonicity 0.087

オクターブ・4度・5度の`うなり'は

Curve 0.087 octave beats Curve 0.087 4th beats Curve 0.087 5th beats

傾き(grade)を 0.065にします。

Curve inharmonicity 0.065

オクターブ・4度・5度の`うなり'は

Curve 0.065 octave beats Curve 0.065 4th beats Curve 0.065 5th beats

傾き(grade)を 0.117にします。

Curve inharmonicity 0.117

オクターブ・4度・5度の`うなり'は

Curve 0.117 octave beats Curve 0.117 4th beats Curve 0.117 5th beats

曲線の傾き(grade)を -0.15〜0.15で変化させてみます。

Curve grade

キー毎の`うなり'で A(1)キーです。 (以後全て 3倍音まででみます)

key octave 1 key 4th 1 key 5th 1

A(1)キーから 3キー毎に C(28)キーまでです。

key octave 1-28 key 4th 1-28 key 5th 1-28

C(28)キーです。

key octave 28 key 4th 28 key 5th 28

C(28)キーから 3キー毎に A(61)キーまでです。

key octave 28-61 key 4th 28-61 key 5th 28-61

A(61)キーです。

key octave 61 key 4th 61 key 5th 61

A(61)キーから 3キー毎に C(88)キーまでです。

key octave 61-88 key 4th 61-88 key 5th 61-88

全てのキーの`うなり'の広さ (全ての`うなり'の合計をキー数で割った平均値)は 見安くするために高さを揃えています)を見てみます。

area octave area 4th area 5th

平均的にオクターブで 倍音が最も広くなるのは 傾き(grade) 0.08~0.09ぐらいになります。
また 0.115前後で平均律の様な`うなり'が 0となる地点があり それ以上では反転します。

grade-html5 html5 HTML5版です。

Tuning(のシュミレーション)を行うと 多少変わります。 (左からオクターブ・4度・5度の`うなり'です)

tune octave tune 4th tune 5th

その場合の全てのキーの`うなり'の広さです。 (Tuningのシュミレーションの範囲は前より狭くなっています)

area tune octave area tune 4th area tune 5th

ところで インハーモニシティによる‘うなり’(Ibeats) では「Broadwood」の [Beat]が 高音部で逆転しています。

bwood-beat-oct bwood-beat-4th bwood-beat-5th

そのインハーモニシティ値を曲線(curve)で合わせた値です。

bwood-curve

傾き(grade)[0.11]と 0.115に近い値となっています。 そして [design]のイマジナリーピアノでは

design1-curve

傾き(grade)[0.087] となります。

design-beat-oct design-beat-4th design-beat-5th

インハーモニシティの段差がある所では `うなり'の逆転が見受けられます。


Dobashi.M
Last modified: 4月 26日 金 15:00:47 2024 JST