駒圧力の計算 (Tension) v1.0.2


「アップライト 及び グランドピアノの構成」ヘルベルト・ユングハンス
"Der Piano-und Flugelbau" Junghans の本に「駒圧力の計算」があります。

Fig-177 (図版177)

そこでは 駒とヒッチピンプレートの高さの差を 3mm・駒の長さを 135mm・ 弦の加重は5音で それぞれ3本の弦が 70Kg としています。

つまり 3 x 5 = 15本で x 70 = 1050Kg
一音では 6.3Kg・一弦では 2.1Kgと算出しています。

Fig-178 (図版178)

その算出経過は
BM : 27mm = 1050Kg : 900mm
従って
BM / 27 = 1050 / 900

(A) math-a

31.5 / 5 (音) = 6.3Kg
6.3 / 3 (本) = 2.1Kg です。

しかし その中から
1050 = 5 x 3 x 70 ですから
一弦分として計算すると

(B) math-b

また 27mm = (900 : 100) x 3mmから

(C) math-c.gif

(A)の式に (B)と(C)を代入すると

(D) math-d

つまり

(E) math-e

上下に100を掛けて

(F) math-f

上下の900が消えて

(G) math-g

となります。

つまり
とすると K(駒圧)は
math-1

上記の値を使い

math-2

と計算出来ます。

T 張力 Kg l 共鳴弦長 mm h 駒高さ mm

また 張力(T)は

math-3

とも表されますので

(1)の式に代入すれば

math-4
  1. 有効弦長 (L)
  2. 弦の番手 (d)
  3. 駒ピンから弦枕(ヒッチピン)までの長さ (l - 共鳴弦長)
  4. 弦を駒から延長してヒッチピンでの高さ (h - 高さ)
  5. 振動数 (F)

したがって上記の5点が解れば 計算出来るように思われます。

弦長(L)
mm
番手(d)
(mm)
共鳴弦長(l)
mm
高さ(h)
mm
周波数(F)
Hz

sin-0.png Fig-1

また 角度から算出する計算式を出して見ました。

math-5

ですので 高さ y は

math-6

前の (1)式に当てはめると 「l = r」また「h = y」ですので

math-7

l が無くなり

math-8

となります。

また (3)の式から

math-9

として 計算できます。

L 弦長 mm d 番手(mm) F 周波数 [Hz] a 角度 [°]

実際に測定するとして その測定誤差を考えます。

T = 70Kg として 2Kg前後となる値を計算してみます。

1度の差は 1.2Kg となり

0.1度の差は 0.12Kg で 実用的な値となります。 角度の測定精度が『0.1度』まで計れるなら (9)の式も有効かも知れません。

また 糸を使って h を計る場合, 誤差は0.5mmぐらいかと思いますが

0.5mmの測定精度では 0.35Kgの誤差となります。

(変更履歴:

Dobashi.M
Last modified: 4月 27日 土 19:37:52 2024 JST